グウィノール年代記

 

シャナキャスケルの歩き方

シャナキャスケル・ガイドブック


 ダルモリカ公国の首都。グウィノール島大陸の南西に面した港町。古くは帝国時代にさかのぼる小さな漁村であり、天然の良港を有する。三公国時代の人口は3~4万人。シャナキャスケル城を中心とする山側の山の手と海に面した下町とに分かれる。海岸近くまで丘陵地帯が迫っており、天然の要害であるが、そのため町は坂が多い。シャナキャスケル城は岩山の上あり、首都と港町を一望に見下ろすことができる。

 シャナキャスケルの下町は坂が多いうえ、狭い土地にぎっしりと建物が建っているため狭い路地が複雑に入り組んでいる。路地自体が急坂や階段になり、家と家はくっつき、合体し、一つの岩の固まりのようになっている。土地に不慣れな旅人がひとたびシャナキャスケルの路地に迷い込んだら半日は出てこられない。だが、それは楽しい迷いでもある。シャナキャスケルの下町には旨い食い物屋が多く、芝居小屋、染め物、機織りの工房などもある。特に染め物職人の工房は数多く、染め物屋横丁には染料と薬品の匂いが立ち込める。旅人は半日と言わず、何日でも飽きることなく滞在出来るだろう。工房で新しい着物を誂えることも可能だ。もちろん、旅籠にも事欠かない。シャナキャスケルは商業の都でもあるからだ。旅籠を選ぶには充分な注意が必要である。グウィノール商人のしたたかさは帝国時代からの伝統なのだ。

 

★山の手は下町とは全く違った様相を呈する。緑の多い丘陵地帯にあり、有力豪士、富裕な商人の屋敷が多く住む。トレヴァルーン、クロノードをはじめとする地方領主の上屋敷が点在する。上屋敷への通りは石畳で整備され、坂道でも馬車や荷車の通行に支障はない。水利は山の湧き水を石の水路で運ぶグウィノール時代の水道がある。しかし、下町に着く頃にはこの水も足りなくなり、井戸が掘られるが、海岸近くの井戸水は弱冠の塩分を含んでいる。

 山の手に住むのは富裕な者で、豪士階級であっても知行地を持たない貧しい平豪士は下町の庶民に交じって住む。知行地も仕官先もない豪士は慣れない商売をすることになる。仕官出来ない豪士は代筆屋や私塾を営む者が多い。

★シャナキャスケル城

 大公家ハイマナシーの居城。シャナキャスケルの都の最も高い位置にある。帝国時代の砦を基礎とし、帝国滅亡後の戦乱時代に防護の必要から城壁が築かれ、時代を経るごとに増築を重ねて巨大な石の城と化した。宮殿というよりよりは城塞であり、優雅さより堅牢さが重んじられる。山地の地形を利用し、分厚い城壁と城門、そしていくつもの塔によって守られている。

★シャナキャスケル土産

 繊維産業が盛んな街であり、土産にはシャナキャスケル産の反物が喜ばれる。また付け袖や髪飾り用のリボンなども。壁に掛ける綴れ織りは非常に高価ではあるが、土産用に小さく作った物も売られており、こちらはこなれた値段となっている

★グルメガイド


・蛸        タコはシャナキャスケル湾で大量に獲れる。大きなものは干しダコにしたり、新鮮なうちに茹でてブツギリにしたものを檸檬やメボウキの葉で合える。小さなものは丸ごとスープ煮にして食される。どちらもシャナキャスケル名物。

 ・イローヴ        グウィノール南部に多く自生する果樹。果実は若いうちは淡い緑色で、熟すと黒くなる。若い果実は塩漬けにして食用とし、熟したものは絞って油を取る。イローヴの油は食用のほか化粧用など様々な用途に使われる。

・ヒメジ         シャナキャスケル湾で獲れる紅い皮の魚。三枚に下ろし、小麦粉をつけてイローヴの油で揚げる。くし型に切った檸檬と塩を添えて供される。

・魚スープ          雑魚や蛸を煮込み、黄色い花のしべで風味と色をつけたもの。固パン、揚げパンなどを浸しながら食べる。


・黒葡萄酒       黒に近い濃い色の赤葡萄酒。ダルモリカ南部の特産品。

・鉱泉水   発泡性の天然水。

・滓酒          葡萄酒の搾り滓に水を加えて蒸留した蒸留酒。非常に強いので鉱泉水や湯で割って飲む。

・タチジャコウ茶   タチジャコウの葉を湯で煮出したお茶。他に薄荷茶もよく飲まれる


 

(by Keita Kamikita)

(by Keita Kamikita)


宮廷料理  (ダルシベラの結婚の賀宴で供されたもの)


 (料理が運ばれてくるたびに告知係が大声でその名称を告げる。客たちは手近に置かれた料理を食器代わりの固パンの上に取って食べ始めた。)


 (山のようにうず高く盛りつけられた新鮮な牡蛎や海老や蟹。蒸し焼きにしたほうぼうと平目。エイの姿煮。焼いて油に漬けた蝶鮫、ニベの煮凝り寄せ、パイに焼き込まれただつ。)


 (自前の羽で入念に飾られた豪華な雄孔雀の丸焼きが上座に運ばれていく。続いて山しゃこ、紅鶴、さんかのごい、カワラバト、ちゅうしゃくしぎ、雷鳥、去勢鶏の皿が来賓客の宴席に並べられた。)


(それから獣肉の皿が運ばれてきた。まずはぱりぱりの赤銅色になるまでこんがりと丸焼きにされた乳離れ前の仔豚。そして辛子で煮た兎肉、葡萄汁で煮た羊肉団子、赤鹿肉の小麦煮込み。さらに紅ダイオウの茎のタルト、いちじくの甘煮、まるめろのパイ、蝸牛の大蒜詰め、油で揚げた蛙の脚、金箔で飾られた茹で卵などの軽い料理が続く。)


(彼女は果汁で煮た生姜入りの羊肉団子を指でつまんでぱくぱくと口に放り込んだ。)


・目の前の湾で漁れる新鮮な魚介類のほか、シャナキャスケル周辺の田園地帯で穫れる新鮮な果実・野菜をふんだんに使ったさまざまな料理が手頃な価格で供される。

オマケ

 シャナキャスケルの下町は海岸にほどちかく、風には潮に匂いがする。そして魚の匂い、魚料理の匂いも。魚はこれもダルモリカ特産のイローヴの果実を絞った油で揚げたり、黄色い花のしべと一緒にスープ煮にして食べられるほか、酢漬けや干物にして遠方に出荷される。港町には猫が多く棲み、捌いた魚のはらわたや料理の残りを漁る。黒い顔をしたカモメ、クロツラカモメが無数に舞い、港に水揚げされた魚のおこぼれに預かる。おこぼれの魚を巡り、カモメと猫は良いライバルである。

★《抜け道》

・家と家がくっつきあって1ブロックが一つの家のようになっている通りには路地と路地を結ぶ抜け道がある。一見すると普通の家の戸口のように見え、近隣の住人にしか分からない。

メモ ;  リーズナブルな魚料理なら

《ウトラの乳房》亭がオススメ! 

 
inserted by FC2 system